出かける用事ができた。
屋敷内にも慣れたことだし、久しぶりに外出してみようという気になったのだ。
一度会ったきりになっている、ペーターやユリウスを訪ねてもいい。
まだ訪れたことのないハートの城や、遊園地に行ってみてもいい。
第一関門のブラッドは突破できた。
そして第二関門――ここが気合のいれどころだ。
無意識に下腹に力を込めると、アリスは正門へと向かった。
二度目の遭遇
印象的な赤と青の服が見えた。
退屈そうに斧をぶらぶらともてあそんでいる。
無視するわけにもいかないが、できるだけ接触したくない相手ではある。
どうしようか考えて居る間にも、距離は近づいていく。
双子はアリスに目を留めると、たたっと駆け寄ってきた。自然とアリスの足は止まる。
「こんにちは、お姉さん。おでかけ?」
「出かけるの? お姉さん」
対なる仕草で見上げてくるさまは何とも可愛らしい。
けれど、可愛さよりも戸惑いの方が勝った。
あれから彼らの態度こそ友好的にはなったものの、素直に信用できるかというと……否だ。
警戒心は消せない。
アリスはまだ、彼らの真意を量りかねている。
「ええ」
「何処に行くの?」
「僕らがついてってあげようか?」
アリスはぎょっとした。冗談じゃない。
無理矢理作った笑顔が引きつりそうになるの感じながら、アリスは首を振った。
「遠慮しとく。行く先は……歩きながら適当に決めるわ」
やんわりと断ると、あっさりと彼らは引き下がった。
「そう。お姉さん、銃は持ってる?」
「……銃?」
アリスは思わず聞き返した。双子は揃って頷く。
「うん。物騒だからね、銃くらいは持ってないと。お姉さんは弱いし、心配だよ」
「ひとつあげようか?」
「……持ってないけど、持つつもりもないわ。大丈夫よ」
もしかしたら純粋に親切で言っているのかもしれないが、銃が必要になるとは思えない。
そう言うと、双子は奇妙な顔をした。
「お姉さんて変わってるね」
「うんうん。すごく変わってる」
誰もが銃を所持している方が、よほど変わっている。
そうは思ったが、どんな反応を返してくるかわからなかったので、反論はしなかった。
「……行ってきます」
「はいはーい。行ってらっしゃい、お姉さん」
「気をつけてね、お姉さん」
背後から明るい声が飛んできた。
二人の視線を背中に感じながら、アリスはやや足早にその場を去った。
アリスは足を止めると、そびえ立つ時計塔を仰ぎ見た。
降りた時の長い長い道のりを思い出し、少しためらう。下るのもきつかったが、上るのはもっときつそうだ。
自分の体力と相談しているアリスを、じっと見つめる人物がいた。
「おや、見ない顔だね」
「え?」
至近距離で声をかけられて振り返ると、背後に青年が立っていた。赤いコートが目に痛い。
人の気配に聡い方ではないが、いつのまにこんなに近寄られていたのだろうか。
アリスが首を傾げていると、青年は構わずに明るく話しかけてきた。
「君もユリウスに用事?」
「ええ、そうだけど……」
迷ってはいるが、そのつもりだ。
アリスが頷くと、青年はニコッと破顔した。
「そうなんだ! 俺もユリウスに会いに来たんだーよかったら一緒に行く?」
まともそうな人だ。
爽やかだし親切だし、何より普通に見える。
この世界へ来て、初めてまともな人に会えた。
(よかった……私の頭、ちょっとはまともだった)
爽やかな好青年は、実は苦手なタイプだ。
けれどこの際、相性が悪いとかそんなことは些細な問題だった。
「あ、名乗ってなかったね。俺はエース。君は?」
「アリスよ。アリス=リデル」
「へえ、アリスか〜……ユリウスに女の子の知り合いがいるなんて、驚いたよ」
せっかくエースに誘われたことだし、と一緒に行くことに決めた。
二人で時計塔の階段を上りながら、他愛無い話を続ける。
エースは歩幅をアリスに合わせてくれているようだった。一、二歩は先に進んでいるが、引き離しはしない。
「ところで、君はどうしてユリウスに会いに来たんだ?」
アリスは言葉に詰まった。
ユリウスとは、友人でも何でもない顔見知り――しかも来るなとまで言われているのだ。
確かに、こうして会いにくるのは不自然だ。
ユリウスにとっては、アリスの訪問は迷惑になるかもしれない。けれど。
「……行くところが思いつかなかったのよ」
「ふぅん?」
こんな理由では納得してもらえないだろう。不審極まりないと自分でも思う。
「この世界に来て最初に会った人でもあるし」
アリスは息を吐きながら、ゆっくりと続けた。
「ペーターには会いに行きたくないし、ユリウスは……口は悪かったけど、話せるかもしれない」
少なくとも、ペーターよりは。
ユリウスは人の話を聞いてくれた。
つらつらと告げると、エースはぴたりと足を止めた。危なくその背中にぶつかりそうになった。
「どうしたの、エース?」
エースは振り返って、驚いたようにアリスを眺め見た。
「君さ、まさか余所者? ユリウスが言ってた」
そういう風に呼ばれるのは好きではない。
少しばかり複雑な表情になりながら、アリスは小さく頷いた。
「……そう呼ばれるらしいわね、よくわからないけど」
エースは「へぇ〜」と感心したような声を出した。
自身の好奇心を隠そうともせず、アリスをじろじろと眺める。
けれど、粘っこい視線ではないので、それ程不快にはならなかった。
「俺、余所者って初めて見た。ペーターさんが連れて来たって愚痴愚痴言ってたけど、当たってる?」
「当たってる。拉致されたの」
アリスが心底嫌そうに吐き捨てると、エースは噴出した。笑い声も爽やかだ。
「あはは! ペーターさん、誘拐犯かぁ〜」
「そうね。……エースは、ペーターの知り合い?」
知っているような口ぶりだった。
エースはしっかりと頷いた。行こうか、と再び歩を進め始める。今度は並んで。
「うん、そうだよ。同僚ってことになるなー」
「大変じゃない? 貴方はまともそうなのに」
あんなトンデモ兎が同僚だなんて、エースの心痛は如何ほどか。
心からの同情を含ませると、エースはきょとんと目を瞬かせた。
「あれ、そう見える?」
「ええ。あなたが一番まともだと思う」
断言すると、エースはニコッと笑って返してきた。
「あはは、ありがと! でも俺、そんなにいい奴じゃないぜー? つまらない男なんだ」
「そうかしら?」
まともな事はいいことだと思う。
少なくとも、今のアリスにとっては最重要事項だ。
お堅い意味でつまらないと評するのならば、つまらない方がいい。
「うん、そう。あ、ここだよ」
一枚の扉の前で、エースは止まる。
やっと辿り着いた、とアリスはホッとした。
エースと話しながら来たおかげで、気が紛れた。それが功を奏したか、疲労感は重くない。
エースは数回扉をノックすると、返事を待たずにドアノブを回した。
「入るぜーユリウス」
「……またお前か」
ユリウスは机に向かっていた。
諦めたような声で答えながら、ユリウスは扉へと目を向け、固まった。
エースの背後にいるアリスに、彼の視線が止まっている。
「余所者をつれてくるな!」
「えーやだなー人聞きの悪い。途中、偶然一緒に会ったんだよな?」
「ええ、そうよ」
エースは悪びれもせずに、あっけらかんと答える。
ユリウスは盛大に溜息を吐きながら、額を抑えた。
「何故、私のところへ来るんだ……」
「だって、他に会いたい人が思いつかなかったんだもの」
「……」
俯いて呟くと、ユリウスは無言で返した。
ユリウスの口調こそ嫌そうではあるが、不思議と拒絶されているようには感じない。
アリスは視線を上げないまま、小さく息を吐いた。
「ブラッドやエリオットはよくしてくれるけど、最近また忙しいみたいだし」
「帽子屋さん? 君、帽子屋さんのところに滞在しているの?」
エースの声に顔を上げると、アリスは頷いた。
「ええ、成り行きで」
「君って、見かけによらず度胸あるんだな」
確かにそうかもしれない。
マフィアの屋敷に滞在しているなんて、自分でもびっくりだ。アリスは否定できなかった。
「俺はハートの城の騎士なんだ。だから、君とは敵対してるってことになるのかな?」
「……そうだったの」
ブラッドから教わった予備知識はある。
ハートの城と帽子屋屋敷、遊園地は互いに敵対関係にあるという。
敵対しているのなら、親しくしてはいけなかったのかもしれない。
アリスの不安をよそに、エースは少し考えこむ仕草をした。
「でも君は余所者だし、関係ないよな?」
エースはにこやかに笑う。よかった、とアリスは安堵した。
「いいから、誰か適当な奴と過ごせ。私のところへ来るな」
そんなよくわからないルールでは、尚更だ。
アリスが返答を迷っていると、ユリウスは大きく息を吐いた。
「……わかった。仕事の邪魔をするな。それなら別にいい」
アリスは驚いて目を見開いた。
まさかユリウスが許容してくれるとは思っていなかったからだ。
「ありがとう、ユリウス」
「れ、礼などいらん!」
ユリウスは焦って答えるが、その頬はわずかに赤い。
照れ隠しなんだな、と一度わかってしまえば、そっけない口調も気にならなくなる。
「ユリウスに友達かー、うん、君はいい子だなー」
うんうん、と感慨深そうに呟くエースを見ると、笑顔を返された。
「俺とも友達になってくれる?」
「ええ、あなたもまともそうだし。エース」
『も』と言ったのは、まともな部類にユリウスが追加されたからだ。
エースは嬉しそうに微笑むと、アリスの手をがっちり握った。少し痛い。
「ありがとうな! ハートの城に来ることがあったら、俺を訪ねてよ。運が良ければ会える」
アリスは頷いた。
あまり親しくはなれなさそうだが、ペーターよりは遥かに好感度が高いのも確かだ。
「じゃ、顔も見れたことだし、俺は帰るか。またなーユリウス。アリス」
どこまでも爽やかに、エースは去った。
扉が閉まった直後、ユリウスは呆れたように呟いた。
「……まともか? あれが」
「え? まあちょっと爽やかだなーとは思うけど……爽やかな好青年って苦手だけど、まともそうじゃない」
「……そうか」
言葉の端々に含みを感じて、アリスは首を捻った。
「? 何よ。実は変態趣味でもあるっていうの?」
「いや、流石にそれはないと思うが」
「ふーん?」
なら、一体なんだと言うのだろう。
少しだけ気がかりだったが、アリスはそれ以上の言及を避けた。
ユリウスと過ごす時間はのんびりしていて、安らぐ。
会話もそこそこに作業に戻ったユリウスを眺めながら、それでも退屈することはなかった。
適度に放っておかれ、適度に相手をしてくれる。それが心地よかった。また時計塔に訪れることになりそうだ。
時間帯が変わる頃、アリスは時計塔を後にした。
帰路についていると、途中で見知った姿を見つけた。
目に焼きついて離れない、真っ赤なコート。うろうろしている。
「エース?」
しかいないと思うが、もしかしたら違う人かもしれない。
アリスがためらいがちに声をかけると、男性は振り返った。やはりエースだ。
エースはアリスの姿を認めると、たたっと駆け寄ってきた。
「あれ、アリス。どうしたんだ?」
「どうしたって……あなたこそ、どうしてここに?」
この先は帽子屋屋敷しかない。
敵対していると言っていたから、誰かに用事があるとは思えない。
第一、さっきエースは『帰る』と言っていなかっただろうか?
「城に帰ろうと思ったら、迷っちゃって。はは」
「……逆方向すぎない?」
明らかに違う。
道が一本違うとかいう可愛らしいものでなく、方角すら合っていない。
「そうなの? 俺、方向音痴なんだー参っちゃうよな」
「へ、へえ……」
参っているようには見えない。
誰しも欠点があって当然だ。それをどうこう言うのはよくない。
けれど、これは単なる『方向音痴』の一言で片付けてもいいのだろうか。
「しょうがないから、双子くん達に道を聞こうと思ってるんだ」
エースは、アリスの隣に陣取りながら歩く。エースの言葉に驚いて、アリスは顔をあげた。
「双子……って、ディーとダム?」
「うん。やんちゃだけど、親切なんだぜー」
「そうなの……」
彼らにそんな一面があるとは、意外だった。
だったら、疑心暗鬼にならずとも、彼らの事をもっと信じてもよかったのかもしれない。
アリスの胸に、小さな罪悪感が芽生える。
「お城に行ったことがあれば、私が教えてあげられるんだけど……ごめんね」
「ううん、気にしない気にしない。双子くんが知ってるし、問題ないよ」
エースはにこやかに答える。
彼が不機嫌になることはあるのだろうか、と思えるほどに常に爽やかだ。
屋敷の門が見えてきた。
ディーとダムはまだ勤務中らしく、だるそうに門にもたれかかっている姿が遠目から見える。
双子の方も気づいたのだろう。
アリスの方に一直線に駆けてくる。けれど、二人の表情は固い。
「……お姉さんっ! 離れて!」
「え」
「やあ、双子くん達。元気そうだなーあはは」
双子の切迫した声とは対照的に、エースの声はどこまでも明るい。
「……この迷子騎士っ!」
「ここは帽子屋ファミリーの土地なんだよ! 涼しい顔して来るなよ!」
「ディー、ダム……?」
射殺すような目つきで、二人はエースに向かって斧を構える。
周囲に流れる剣呑な空気を感じ取り、アリスは戸惑った。エースが言っていたことと違いすぎる。
「また鍛練かい? 仕方ないなー。でも、向上心は大切だよなっ!」
エースは迷うことなく、すらりと剣を抜いた。
「お姉さん、大丈夫!? こいつに襲われてない!?」
「早くこっちに来て!」
「え、ええ……っと」
唐突に言われても動けない。
どうしていいのかわからなくなりエースを見上げると、エースも頷いた。
「うん、離れてくれアリス。怪我をするかもしれないからな」
「え、ええ?」
混乱したまま、アリスは急いでその場を離れた。
途端に、耳障りな金属音が鳴り響く。
アリスは青ざめながら、呆然とその光景を見つめていた。
エースの表情は変わらない。変わらないのに。
鍛練なんてものではないだろう。
ディーとダムは本気で殺しにかかっているようにしか見えない。
エースのことを『まともか?』と言ったユリウスの言葉が、アリスの脳裏に蘇った。
ああ、そうだ。
まともではない。
「はい、俺の勝ち。約束通り、道を教えてくれよ?」
「……くそっ」
ディーとダムは悔しそうに顔を歪める。一方のエースは、涼しい顔だ。
二人を相手にして余裕を見せるほど、エースは強かったのだ。
そんなことを考えながら、アリスは茫然自失と突っ立っていた。
二人はイライラしながらも、律儀に道を教え始めた。
「ありがとうなー双子くん!」
「二度と来るな!」
「ははは、またなー」
エースが立ち去ると、ようやくアリスは我に返った。慌てて双子へと駆け寄る。
二人とも、体中傷だらけだ。
傷口は深くはないが、ところどころ服に血が滲んでいる。アリスはいよいよ青くなった。
「お姉さん、大丈夫?」
「あなた達こそ……ちょ、ちょっと待って、手当てを」
けれど、今自分が持っているもので役に立ちそうなものは、ハンカチぐらいしかない。
一度戻って道具を借りてこようと体勢を変えたアリスの手を、ダムが掴んだ。
「平気だよ。でも、どうして迷子と一緒だったの? お姉さん」
「迷子……エース? 時計塔に行く途中、偶然会ったの」
そんな事よりも手当てをしないと。気だけが焦る。
「時計屋に会いに行ったの?」
「ええ」
短く答えると、ディーとダムは少しの間、黙り込んだ。双子は互いに目配せし合う。
どうしたのかと怪訝な顔をするアリスに向かって、ディーが口を開いた。
「……ふぅん。ね、お姉さん。それ、ひよこウサギには言わない方がいいよ」
「そうだね。言わない方がいい」
「え、どうして?」
いきなりエリオットの話が出てきたので、アリスは思わず聞き返した。
ユリウスの話ではなかったのだろうか。
「あいつ、時計屋が嫌いなんだ。僕も嫌いだけど」
「うん、大嫌いなんだ。だからあいつには言わない方がいいよ」
「そうなの……わかった、ありがと」
個人の相性はあるだろう。
嫌いな相手にわざわざ報告することではない。
まだ細かい部分を知らないアリスは、いつ地雷を踏んでしまうかわからない。
双子の親切に感謝しつつ、アリスは改めて頭を下げた。
「ごめんね」
何のこと?と言いたそうな顔の彼らに、アリスは沈んだ顔で答えた。
「エースのこと。貴方達と友好的っぽいこと言うから、連れてきちゃったの」
あれで友好的だと言える方がおかしい。
止めなければならなかったのに、とアリスが悔やんでいると、双子は目を瞠った。
「友好的!?」
「あいつ、何て言ってたの?」
気にするポイントがアリスとは違う。
少々面食らいながら、アリスは記憶を手繰り寄せた。
「え……っと、いつも道を教えてくれる親切な双子だって」
正直に告白すると、空気がいきなり冷えた。
ぞわり、と思わず鳥肌が立ってしまうほど、二人は殺気立った。
「……絶対に殺す」
「殺してやる」
「あ、あのっ!」
双子は、恐ろしいほど低い声でぶつぶつと呟く。
焦って口を挟むと、二人は同時にアリスを見上げた。
「手当てしないと。ちょっと待っていて」
屋敷へと走っていくアリスの後ろ姿を、ディーとダムは不思議そうに眺めていた。
歩いていたメイドをつかまえて救急箱を借りると、アリスは踵を返してディーとダムのもとへ戻った。
本当に手当てを始めたアリスを、不可解だと言いたげな目つきで見つめる。
双子は大人しくなすがままになっていた。消毒液が沁みるだろうに、痛いとも何とも言わなかった。
あまりに大人しくなった二人を少々気味悪く思い始めながらも、アリスは黙々と手当てを続けた。
「……はい、おしまい」
「……」
ダムの手に包帯を巻き終えると、アリスはさっさと道具を片付けはじめた。
ディーとダムは何も言わない。
包帯の巻かれた部分を、首を傾げながら――だが、どこか嬉しそうに――眺めている。
「い、痛かった?」
心配になって聞くと、双子は「ううん」と揃って首を振る。
二人はそわそわと落ち着きがなく、しきりに手当ての痕に触れてみたりしている。
「ありがとう、お姉さん」
「ありがとう。……ねえ、お姉さん」
「ん、何?」
片付けを再開したアリスは、顔を上げずに答えた。ぱちん、と蓋をしめる。
言葉に続きがないので顔をあげると、ディーの視線とかち合った。
「ううん、やっぱいいや。僕達と遊んでいかない?」
「駄目よ。あなた達、怪我してるもの」
言いながら、対峙したときの緊張がいつのまにか解けていることに、アリスは気づいた。
傷口に悪いから駄目だと言うと、ディーとダムは顔を見合わせた。
同時に、クスッとその口元が綻ぶ。
「わかったよ。今度は絶対、遊ぼうね。お姉さん」
「絶対だよ、お姉さん」
ディーとダムは、やわらかく答える。
二人の視線も、以前よりずっと柔和に感じられた。
「ええ」
今度は、素直に頷くことができた。
===== あとがき ===
『First〜』の続きもどき。ちょっとだけ仲良しに(・▽・)
タイトルがひねれませんでした(´A`)
読んでくださって、ありがとうございました。
(2008.10.5 山藤)